せんたま

スマートフォンタブレット端末をメインターゲットとするモバイルゲーム市場で、Autodeskのハイエンド3DグラフィックスツールであるMayaや3ds Maxなどの活用機会がますます増えてきている。現在では対象端末を絞った上でゲーム専用機並のフル3Dを用いた作品も珍しくなくなっているが、その市場はまだ小さい。ユーザー層を最大限に広げるためには、3D表現のメリットを生かしつつもある程度古めの端末でも充分に動作できるように調整するといった、"さじ加減"を考えることが非常に重要だ。 その点、国内数千万人というスマートフォンユーザー全体を対象にゲームビジネスを展開している株式会社ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)の取り組みは、ゲームへの3D表現の導入を通じて分厚いマスを捉えることを意識した事例として非常に興味深い。去る5月7日にiOS/Androidでサービスを開始したタイトル「戦魂」のケースをもとに、今日的なモバイルゲーム開発の実際、ならびにAutodesk Mayaをはじめとした3DCGツール活用の利点を見てみよう。  iOS/Android向けに5月6日より配信がスタートした戦国シミュレーションRPG「戦魂」。王道的なモバイルゲームのフォーマットを踏襲しつつ、要所に3Dグラフィックスを持ち込むことで本格ゲームのテイストを備えることになった https://sen-tama.jp/ 3D表現で高められたゲームの表現力 「戦魂」は、戦国時代の内政と合戦をモチーフとした戦国シミュレーションRPGだ。基本プレイ無料+アイテム課金制というごく王道的なサービスモデルを基礎に、フル3Dで描かれる迫力の合戦シーンと軽快なゲーム性を実現。DeNAが従来より培ってきたモバイルゲームとしての遊びやすさに、最新ゲームとしてのビジュアルの面白さを持ち込むという試みをうまく成功させている。  ゲームの構造そのものはシンプルだ。内政パートで城下町の建設、改良を行いつつ、武将を強化。戦略マップ上で合戦場を選び、合戦シーンでは最大5人の武将を組み合わせた"デッキ"を駆使して、ターンベースのバトルで勝利を目指す。そして合戦その他の達成で得られるリワードなど使って"ガチャ"を回し、新たな武将や強化アイテムを手に入れていく、というのが全体的なゲームの流れとなる。